2014年11月13日

かわいい子らの旅-1

先日、“アートマ”と呼ばれるTV局主催のアートイベントに、塾生2名が個人出展をしました。

ひとりはムサ美大通信生、Kくん
もうひとりは鹿大生、イラストレーターを志すFさん。

Kくんが初のイベント参加に緊張していた頃、
入塾したてのFさんが『私も初参加するんですよ!』という偶然の一致。
以前参加したという一般塾生、Mさんのアドバイスも受け、
開催日が迫る中、アルバイト、学業、さまざまのこともこなしながら準備を重ねる日々でした。

準備に勤しむFさんとKくん
▲準備に勤しむFさんとKくん

制作で睡眠時間を削るのは致し方なし!
互いに情報交換をしつつ、せっせと準備に励む2人の様は微笑ましくも心配であり…。。

各塾生さんへの対応やデザイン業務に追われる中、祖父が入院したりと(ことなきを得、無事退院できました)、私自身も慌ただしく過ごす中、イベント前日の作品搬入日を迎えました。

搬入時間は開催前日の21時半から…
大きな作品があったこともあり、お手伝い。スタッフとともにヨイショ、コラショ。
軽自動車の荷台がいっぱいになりました。

搬入風景と当日のブースの様子
▲搬入風景と当日のブースの様子


イベント開始は朝10時~なれど、入場は朝の7時。
2日間にわたるイベントの1日目は21時まで、という長丁場。
グループだと交代ができますが、個人にとってはなかなかのハードスケジュールです。

2日間…どうなのかしらん?と心配するも、
本人達によると、

『1日目はフルボッコされたかんじでヘコみましたけど(=自信をおおいに無くした意)
…2日目にはなんだか開き直っちゃいました!』
という、大変たくましい感想を得ました。

何年越しかの参加を経て、より洗練された展示にいきついた…という熟練の出展者も多いようで、
そう思うと、短いタイムラインで若干の立て直しをはかれた事は、彼ら2人にとって良い方向に働いたようです。


今回のように、不特定多数の方が集まるイベントでは、
作者の方向性をより明確に絞り込んで提示する必要があるように感じました。

日々色々試行錯誤しているからこそ、自分の様々な作品を見てもらいたい!
という思いはあれど、それは『作り手側』の思い。

ただでさえ数多の作品が並ぶ会場。
『見る側』の視点で考えると、ひとりの『多個性』がひとつのブース内にあふれると、『個性』がぼやけてしまう。

初見の人にとっては『どこからどこまで』がこの人のスペースで、作品なのか?ということがわかりづらくなります。
今回の広場展示に限定しての話ですが、通路と出展スペースに空間がないため、集まる人が多ければ多いほど『足下』に人の目はいきづらくなるため、設置の際は、作品の配置を高くしたり、大きい作品を制作したり…展示方法にひと工夫が必要なようです。

会場を上からみたところ
▲会場を上からみたところ


…しかし、これは『イベント(お祭り)』における話。
自分の作品の展示方法をディレクションすることは大切ですが、それでメインの創作が疎かになるのでは本末転倒のようにも思います。
(かたや、目に見える技術ではなく、『ひとを楽しませる』ことを目的とする方向性もあります。)

『何』を自分の『強み』とするかによって、力をおくべき場所は人それぞれ。
いわゆる正解はないけれど、
『外』に出す。『他者』に見てもらう上では、
『方向性』は何かしら必要であるように思います。

それを無意識的に行うひともいますし、意識的にコントロールしているひともいます。
『じぶんは引き出しが少ないから』、『自分の個性がまだわからない』と嘆いたり、
『それこそ自分の個性なのでは』…と自信につなげてみたり。

創作といえど、アイデンティティに関わる問題はここでも起こる。
正解はない。
模索し続けること。
…そして、ある局面においては『選ばねばならない』自分の個性があるのかもしれません。


話を戻します。

ブレーメン3体

すっかり塾内外で『ロバの人』となってしまっているKクン。
立体作品(ブレーメンの音楽隊をテーマにしたロバ、ニワトリ、ヒヨコ)と
平面作品(イラストや写真をテーマにしたポストカード)で挑みましたが、立体作品の個性が強く、平面作品にはなかなか目を向けてもらえなかったようです。

初日はだいぶ心を折られた模様でしたが、
アートイベントにおけるプロデュース(ただただ一生懸命に創ったものを並べてヨシ、で終わるのではなく、それをいかに見せ、紹介するか、ひとをひきつけるか?を考え、実践すること)の必要性と自覚を痛感し、度胸とコミュニケーション力がレベルアップ。
ロバには80人ほどのチビッコが騎乗し、笑顔になってくれたそうです。

それを楽しみながらも今回の経験を経て、
「やはり自分は絵を、もっと深く、描いていきたい!」と再認識したそうです。

ラオコーン祭り
▲先日のラオコーン祭(?)にて新たな描法にチャレンジするFさん

強風で作品の額のガラスが割れてしまったりという、屋外ならではのアクシデントがあったFさん。
こちらも展示や自分の作品にとっての課題を多く得た2日間だったようです。
早くも来年の出展(リベンジ)を心に決めているようです。…頼もしい!




かわいい子には旅をさせろ、という言葉がありますが
試験に送り出すのとはまた違ったハラハラ感のある日々でした。

同日は高卒認定試験日でもあり、
WくんとMくんも大丈夫かー!と、もはや何から心配すれば良いものか…。

翌日提出の仕事のため、搬出時間まで身動きができない我が身がもどかしいばかりの日曜日でした…トホホ。



塾生さんたちもたくさん応援に行って下さったようです。ありがとうございました!
みんな、自慢の塾生です。
イベント前中後も、しっかり画塾もフル稼働でした!

中3コンビが最近描き方の質問をたくさんしてくれるようになってきたのが嬉しい昨今です。
先日話題になった『なすり(タッチをこすってモヤモヤにする)』についてはまた後日。おもしろい。


準備に励む面々


さてさて、今週末はまた、『ストリートアート美術館』なるイベントに塾生さん有志が出展致します。
前の記事でもご紹介しましたが、こちらは物販やメディア関連でない、主催者さまの趣旨も異なるイベント。

2週続けてのイベントに…正直なところ若干ヨロヨロしておりますが(苦笑)
自分の作品の発信のきっかけにならないかな…?と模索中の一般塾生の方や、文化祭みたい!と喜んでくれる子もいらっしゃいます。
こちらのイベントに関しては、一般塾生さんの力をお借りしつつ、もうすこしゆったりと…できるものと…思っています。


看板づくりや準備にお仕事帰りに連日お手伝いにきて下さっているMさん、ありがとう~!!
もうひとふんばり!…そもそも期日がもうない!
…もちろん画塾も午後から開塾しますヨ!!土曜日の皆さんは普段通り来塾して下さいね。
当日は来塾予定の方も、展示を覗きにいく時間を設ける予定です。

まだまだ不案内で未知数な状態ですが、看板づくりや額縁づくり・準備など
自分の作品を『見せる』って、どんなことなのか?を試行錯誤する塾生さんたちの姿はなかなか素敵です。
私共も、しかと皆で後押しいたします。…エンヤコラ!

『かわいい子らの旅-2』は、イベント後にまた。


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Posted by いづろ画塾 at 12:37│Comments(3)日々催し
この記事へのコメント
外に晒してみて、ネット上で晒すのと違って、問いかけると返事がかえってきて、やりとりの中で自分では気づかなかったことが感じられてよかったです。

案外発想というのは私が考えていた以上に大事だったんだな、ということを知りました。考える、というのは誰でもできそうでありながら、「いままで考えたこともない話でした」という、やりとりでの感想を聞くにつけ、自分が思っているほどたやすくはないのだな、ということがわかりました。
Posted by epimbi at 2014年11月15日 15:23
epimbiさま

コメントありがとうございました。
私は長時間会場にいられませんでしたが、その間もepimbiさんの作品をじっと見入っていらっしゃる方がおられました。
ネット上とはまた違うかたちの『外』に自らの作品を出したことで、新たなる発想や創作の種が生まれたのでは…と思います。
これからまた生まれる作品が楽しみです。
展示した作品は画塾でお預かりしています。またの来塾の際にお渡ししますね。
Posted by いづろ画塾いづろ画塾 at 2014年11月17日 19:02
発想の種というか、森村桂の『天国に一番近い島』の舞台である、ニューカレドニア出身の日本語がちょっとしゃべれる留学生と話し込んだことが、一番大きな出来事の一つですね。フランス系のひとだと思うのですが、私、桜島のユースホステルで何年も働いていて、非常に多くの国籍、地域の人と話したことがあるのですが、ニューカレドニア出身の人というのは初めてでした。アーティスト・カードは渡しましたが、コンタクトくるかどうかわかりません。でも、まあ、ニューカレドニアの人と話したという縁はできたので、『天国に一番近い島』でも読んでみて、その前に手軽に検索でもしてみて、掘り下げておこうと思います。グァム大学の先生のお世話したりとか、ツバルプロジェクトというものをされていた先生の授業先日、東京でうけたりとかして、オセアニアつながりというのも自分の中でできそうだから、ちょっとそこらへん、たぐってみようと思っています。さて、連絡くるかどうか、、、
Posted by epimbi at 2014年11月17日 21:39
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