2020ご挨拶と2019_下半期出来事

いづろ画塾

2020年01月09日 15:16



引き続き、2019年度の話を。
2019上半期の記事はこちら

7〜9月
◆大雨洪水。鹿児島市でも一部地域で崖崩れによる市電運休など。
 他県の卒塾生さんから心配のご連絡をいただきありがとうございました。

◆レジェンド塾生・琢磨くん来訪(ムサビ空間演出デザイン学科卒)
「アラサーになってしまいました…」が第一声だった琢磨くん。
「安心せい、三十路も人間じゃ!」よくわからない言葉で激励。…安心せい小童、人生は長いのじゃ。
柔らかでコミカルな語り口が後輩達に人気の彼ですが、人生の折々で過酷な試練を乗り越えてきたゆえの佇まい。…ようやく自分の感性・特技に合った仕事に携わり、認められ。イキイキしていました。

▲琢磨くんを囲んで。かつて彼の犬苦手をその愛らしさで克服させた看板犬チイコさんは2020年で14歳になります。

同日、京都精華大油画科2年の春恵ちゃんからレポートに関する質問の電話。
第一声が「神様って『普段』どこにいると思いますか?」で、、正直面食らいましたが…話を聞いてみると『受胎告知』の絵画から生じた疑問に対する自分の考えの根拠を明確にしたい故の質問で。「そういうネタは大好物!」な博識の論客・琢磨くんと共に、スピーカーフォンでああでもない、こうでもない…と楽しい議論をしました。

▲写真は春に訪れてくれた時のもの。フィルム写真(暗室作業)やピンホールカメラほか、シルクスクリーンや版画作品などを見せてくれました。

個人的に版画にハマりそう…と思っていたのですが初志貫徹で洋画の道に。
版画の先生に「なんでこっちに来ないの?」と問われた際、「全部、学びたいんです!」と答えたところ「…死ぬぞ!」と苦笑まじりに言われたそうで。在塾時いつもリュックにホメロスの叙事詩を携え(しかも頭に入っている)、博学ながら謙虚で今も変わらず何事にも真摯に取り組む彼女が、かの地でも愛されている様が伝わってきました。

2年生前期では、グリザイユ描法で人物を描いたり、土から絵具を作り「自画像」「皮膚」をテーマに絵を描いたり…と面白い取組みをしていました。今後洋画の専門的なお話を聞くのが楽しみ。

◆美大受験漫画『ブルー・ピリオド』ブーム。現在6巻(2020 1月現在)。
 はまった方、そうでなくとも下記記事はおすすめ(全3ページ)。(藝大・作家志望の方には厳しい話も含まれています)
 「美大は“絵で食べる方法”を教えてくれない」 漫画『ブルーピリオド』作者と完売画家が考える“美術で生きる術” (1/3)

◆和沙ちゃん、ネコさんとの出会い
木曜夜の部来塾予定の和沙ちゃんが一向に来ない…心配していたところ、ようやく現れた彼女は泥だらけ。いつも背負っているリュックを両手に大事そうに抱えていました。「ネコ…拾って。」リュックの中を覗くと小さい可愛らしいネコさんが…。


朝の通学時に駅の片隅に見つけた、びっこを引く痩せた子猫が夕方の帰り道にもおり。背中には他の動物に噛まれた傷。…とてもこのまま置いてはいけないと。
警戒して逃げた猫さんとの追いかけっこで泥だらけに。お腹が空いているはず、と子猫用のごはんを入手しての来塾。ネコさん最初は警戒心からじっと伺っている様子でしたが…しばらくのち、勢いよく水を飲み、食べはじめ。和沙ちゃんの膝で眠ってしまいました。
その間彼女は、友人達にLINEで飼うことができる人がいないか相談。『まずは獣医さんに診てもらったほうがいい』という現実的なアドバイスから、茶化すような無邪気なコメントまで…。通知が来ては「う〜…」と唸り。必死に忙しく動く指先を見ながら、どうしたものか…と自分のつてに考えを巡らせ。塾生さん達も背中で『どうするんだろ…』と気が気でない様子。

事前に本人から連絡をうけ、かたい表情で迎えに来られたお母様と和沙ちゃん共に、たくさんお話をしました。
「『拾った者の責任』として、あなたは明日、獣医さんにその子を診てもらいなさい。」気持ちはわかるけれど、命の責任をどこまで捉えているか。その覚悟を持って手を差し伸べたのか。
ピリッとした空気の中・・・フゥ、と息をついたお母様が「…私も本当は、動物が大好きなんです」困ったように微笑まれる姿が印象的でした(これまでになくしょんぼり・ちっこくなった和沙ちゃんの姿も)。
美術の夏期講習期間を休み、猫さんの健康が回復するまで様子を見ながら飼い主になってくれる方を探す…、というお話でその日はお開きに。

私は会話の折々で『ウチで一旦預かってはどうか』という提案をしたくてたまらない目線を何度もスタッフに送り続け…あとで叱られました。。

その後、和沙ちゃんは徐々に回復してきたネコさんの様子を写真とともにしらせてくれて。彼女が動物を大好きなエピソードを以前から聞いていただけに『これはもう、離れがたいよなぁ…』。複雑な気持ちでした。
それから数ヶ月ぶりに来塾した彼女に一言目「…ネコちゃん、どうなった?」聞くと、「ウチの子になりました!」と。 名前はハチさん。

夏期講習を休み、かなりの焦りが生じるのでは…とも心配しましたが「遅れたぶんは、自分で取り返します!」力強く言い切った彼女はいま油画の道に進むべく奮闘中。モリモリ力をつけています。

◆ムサビ日本画学科1年生となった馬場ちゃん来訪。

 卒塾後、約半年ぶりの再会。画力や感性の幅が益々広がり、充実した日々を送っているなぁ…と感じられる会話&笑顔が眩しく、嬉しかった。帰り際のハイタッチで互いの気合による遠心力!の衝撃でジ〜ン…と。手の痺れに笑い合ったのでした。ウム、頼もしい!!

◆ロリータファッションモデルさん描画。

卒塾生で一般塾生さんでもあるカナちゃん、ロリータファッション・ラストステージ。(2019夏・ロリータ卒業)
まつだちゃん念願のロリータモデルさん描画でもありました。

クロッキー数セットのち、各自着彩で描き進めました。

後半は参加してくれた山下くんオススメの紙を皆で試すなど。…ロリータさんも共に興味津々なのが微笑ましい。


◆夏期AO入試
◆あいちトリエンナーレ
 『表現の不自由展』がクローズアップされ政治が介入。補助金全額不交付の撤回を求め東京藝大・京都文化庁への抗議デモ、美大生や美大教授らの抗議・署名など。展示を実際に見ていない人間ゆえ多くは語れませんが、変化し続けた展示のありよう、国際フォーラム、作家さんたち自身が電話対応するJアート コールセンター…。多くのことを考えさせられ、学ぶ契機となりました。卒塾生間でも敏感に反応する子(意識し自分なりの考えを述べる,調べる 等)、関心がない子…と分かれた印象。私個人としては…今後の若人達の未来に危機感を持ち署名をしました。集めた記事や資料を整理しつつ、今年届くであろう図録を見て考え、また塾生さん達と話したいと思います。

◆CG系専門学校に入学した子も。卒塾生で京都精華大学プロダクト卒のTくん、Kくん。二人とも頑張ってるかな。

◆2020年4月からはじまる『高等教育の修学支援新制度』給付型奨学金 支援対象校発表
 大学、短大、高等専門学校、専門学校での学びの支援制度[高等教育の修学支援新制度(授業料減免・給付型奨学金)]
 対象:2020年4月進学希望の高3生〜2浪・高認試験合格者,在学中の大学生
 ※2020年度進学・進級予定者の、進学・進級前の申込受付は終了も進学・進級後でも申込み可能
 ※進学・在学校が2019年9月以降発表の支援対象校である必要あり
◎高等教育の修学支援新制度 とは(文部科学省HP)
自らが対象となるかは[奨学金の制度(給付型)/独立行政法人 日本学生支援機構HP]内、『進学資金シュミレーター』でお早めの確認を。


◆京都造形芸術大学 開学30年を機に『京都芸術大学』に改称発表も…京都市立芸術大学との訴訟に。
 ▽手羽氏記事の後半で詳しく記されています
 [2019年の手羽が気になった美術系大学の出来事ベスト3発表!!]
 京都市立芸術大学は『明治13年(1880年)に創設された京都府画学校を起源とする公立の芸術系大学としては全国でもっとも長い歴史をもつ大学/大学HPより』。2023年京都駅東側に移転整備されます。
[後日談]2020年4月1日に『京都芸術大学』に改称され当日特設サイトがアップされました。

◆南日本ジュニア展(inoくん入選、花香さん特選、和沙さん昴賞・優秀賞)

◆女子美大メディアアート専攻3年・ヒナちゃんから映像関連レポート
昨年ヒナちゃんが訪れてくれた際、映像制作に興味を持っていた高校生にいろんな話をしてくれて。「是非あの子に見せてあげてほしい」と自身の体験・見聞をまとめたレポートを送ってくれました。
『自分のために』送ってくれたことに「本当ですか…?」と目を丸くした高校生のリアクションが印象的でした。
自身の利害ではなく、得た知識を後輩に惜しみなく伝えてあげたい…!というヒナちゃんの思いがこもったレポートは、他の進路を目指す子や同期の子らにとっても、大事な話が詰まっていて。胸が熱くなりました。本当にありがとう。

◆麻菜さんアニメ制作会社試験

▲資料写真撮影に塾生さんたちにご協力いただき皆で屋上へ。…なんだか青春ぽいぞ。。

麻菜さん就活に向けてのやりとりに、現在東京でアニメーターとして頑張っているSくんにアドバイスを求めるなど。自分が知らない分野の話を尋ねられる相手がいることのありがたさをしみじみと。もちろん『現場』にいることは楽しいばかりでは済まされない厳しさも切なく聞きました。


10〜12月
◆11月15日、画塾15周年!
 なにかしたい、とも思いましたが…スタッフも少人数の当塾。デザインの仕事もあり、受験生はそれどころでなく。結果、一日一日こうして日々を積み重ねてゆくことこそが大事なのだ…と、いつものようにその日を終えたのでした。

◆かごしま市民アートフェア。中3・inoくんがジュニア大賞を受賞。
 まつちゃん、ふじみちゃん、睦実さんも出展。


◆私事ですが…2018年5月は100歳の祖母が。2019年11月には94歳の祖父が天に召されました。
 矍鑠と生き続けてくれた、大恩あるふたりです。
 10月後半〜11月一杯、母は宮崎に常駐し、私は毎週末鹿児島・宮崎間を往復する日々でした。

◆塾生さん間リレー漫画企画。
 漫画・イラストを描くのが好きな子が多いこともあり、スキマ時間でできる企画として発案。
『お題』に対し、自分の持っていきたいストーリー展開に相手を巻き込むか、相手の意図を汲み取り調子を合わせるか…相互の化学反応で生まれる新たな展開を楽しむか。
…発案当初は意図していませんでしたが『文脈』や『相手の意図』を読む力、活かす力、カメラワーク等演出を考える力&実際にそれを描ける画力。語彙や漢字力が鍛えられる企画となりました。ご好評につき継続中。〈こちらから閲覧できます〉
誰がどこを描いているか分かると面白さ増…ゆえ、それが分かる見せ方の工夫を今後したいなと。

◆秋田公立美術大学4年Mちゃん来訪。
卒業制作のコンセプトボードのデザイン等のアドバイスなど。今回は上品な紅色の髪の毛で登場(写真撮り忘れ…)。来春から鹿児島で働きます(デザイン業)。

◆姶良10号展に2019年2月に入塾された真弓・貴美子コンビ特選。おめでとう!!

◆高2となった音楽科の優愛ちゃん。志望校も決まり、ピアノの道に益々邁進しています。
 高校美術展に彫刻模刻のオマージュで挑んだ、美術科の花香ちゃんと共に音楽と美術の共通性などを話題にしました。

◆せんだちゃん・愛息子くん来訪

変わらぬ向上心、これまで重ねてきた学びや経験ゆえの見識に「やっぱりせんだちゃんだなぁ…」しみじみ感じた嬉しい再会。坊ちゃんも健やかに成長していました。
『こどもは未来からのあずかりもの』…とても素敵な言葉も教えてくれました。

さて、締めは恒例の塾生みなさまの作品をご紹介。
(大きな画像で閲覧したい際はいづろ画塾ギャラリーページへ)

▲大学受験生のまつちゃん。たくさんの話、やりとり、奮闘を重ねてここまできました。
 昨年末も話したように、自身の選択した進路に誇りを持って挑んでください。キミはできる。


▲中3のinoくん・ふじみちゃん・ARくん。
 実技試験対策が必要な高校を受けるのはARくんのみ、という当塾にとって若干珍しい展開…も、みな『創作』で生きてゆきたい夢を抱く子たち。各々が選んだ進路でその先の夢を掴み取れるよう、エールを送ります。


▲高2の晴華さん、花香さん、雪乃さん、唯央さん。
 いよいよ新高校3年生。志望校が決まっている子はより高みを目指し、未定の子は望む進路をしっかり模索していこう。


▲高1の和沙さん、南那さん、美月さん、凪沙さん
 今後も幅広くたくさん描き、創り。自分の感性や技術の引き出しを増やしていきましょう。


▲専門学校生の遥貴さん、麻菜さん。
 ふたりとも内定おめでとう。遥貴さんはデザインの道へ、麻菜さんはアニメーションの道へ。
希んだ新たな道へ進んだ、今後のふたりと再会したらどんな会話をするだろう。とても楽しみです。


▲一般塾生の美佐子さん、ゆかさん、久美子さん。
熟練チームのお三方。ゆかさんは春から勤務地が宮崎に。新天地・ファイトです!
久美子さんは30号、じっくり仕上げていきましょうね。


▲Epiさん、睦美さん、Ariさん。


▲カナちゃん、真弓さん、貴美子さん。


▲理々香ちゃん、寧々さん、祐貴さん。
理々香ちゃんは間もなくセンター試験ですね。応援しています!


▲2019末で卒塾のゆうかちゃん。塾生さん皆に妹のように可愛がられていました。今後はテニスの道にさらに邁進。ファイト!

こうしている間にも日々出来事が…。。
ありがたいことに昨年入塾された方も多く(当塾において、ですが)、今年も忙しくなりそうです。

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