2018年07月06日
画がつなぐ出会い2 ~久木田泰子さま、ご家族への感謝に寄せて~

塾生さん達にとって[本物の日本画]にまさに“触れ、間近に見る”機会は初めての人ばかり。
泰子さまの道具や作品の筆致等、たくさんの知識の教科書になっています。

▲絹に描かれた日本画。絹本(けんぽん)
『これが絹に描かれた日本画だよ~!おお、裏打ち※がきれいだね!』
『ぼかしがきれいですね!絹だから…ですか?』
『いつか絹に、描いてみたいな…』

▲上の絵の表面クローズアップと、和紙で裏打ちされた裏面
※裏打ちとは
日本画・書などの本紙(絵を描いた絹や和紙)の裏に和紙を糊で貼って紙の起伏を抑え、補強すること。薄い本紙の透けを防ぐ目的もありますが…なにぶん難しい作業なので表具屋さんに頼まれる方も多いようです。
↓『裏打ち』の難しさが分かりやすい動画です
[日本画・裏打ち 武蔵野美術学園]

▲泰子さん自画像と、クローズアップ画像。
『この自画像は厚塗りされているね。色使いが印象派みたいね。』
『いろんな色が入ってますね』
『遠目には、油絵みたい…』
十代の子たちにとっては大先輩の泰子さまなれど、いろんな描き方や色使い、絵づくりに挑戦されていた…!ということが絵を通してまざまざと「わかる」パワフルさに、『若人たち、負けちゃいられないぞー!』と鼓舞するのでした。
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色数がぐっと増えた画塾の日本画材で、
日本画科志望の高校3年生・梨里花ちゃんが2作目の日本画を描きました。

▲『 間 』 馬場梨里花(第36回南日本女流美術展/日本画入選)
※女流美術展についてはまた改めて…。
制作のさなか
『これでいいのかな~?』
『顔料によって紙へののり方や溶いた具合が異なるけど…大丈夫かしら…。』
…不安になった際、一緒にまじまじと泰子さんの絵を見て『…これでいいのだ!』と納得したり。思い切ってすこし冒険的な手法に挑戦してみたり。
日本画には多様な使い方、描き方があり(…画材なのだから当たり前なのだけれど)
試行錯誤、実験とその結果への驚き、ならば…?という予測立て。
『…なんてロックなんだ!!』…時折はしゃぎ、時に冷や汗をかきながらのスリリングで楽しい制作でした。
なにより、仕上げたとき
「…やっぱり私、日本画好きです。」
ポツンと言った彼女の言葉が嬉しかった。
卒塾生・濵田さんが訪れてくれた際の日本画や大学での話、自身の制作への思いや、受験の頃の話を聞き…
また今回の件も含め、初めて日本画を描いた時とは異なる気持ちで制作に向かい、充実した日本画材に触れ制作を行うことができたことで、より自分の進路への思いを強くしたように思います。
さまざまな世代や思いの「つながり」を…しみじみと感じる日々でした。
これは今回の件に関わられた個々人のみに限ったことではなく…他分野で歩む子、これから歩む子、親御さん、年を重ねさまざまなことを経られた方…各々の世代の、その時々によって、多様な捉え方ができる出来事のように思います。
素敵な偶然が重なった出会いに改めて感謝するとともに、
繋がれてゆくであろう思いが、どんなふうに広がってゆくのか…たのしみです。
Posted by いづろ画塾 at 20:09│Comments(0)
│日々