2013年08月16日
直線•曲線を引くということ。

人間が真直ぐな直線を引くという行為はフリーハンドでは極めて難しいことです。
身体は骨格のつくりが関節(手首•肘•肩ときには腰)によっての曲線を
あやつるに適した構造なのです。(人体コンパスと言ったりしていますが…)
今日グラフィックのみならずデザインといわれる世界では80%〜100%
コンピュータを道具としたワークに変わっていますが、
アナログにおける身体表現では『直線を引く』ということは重要な意味を持ちます。
これも、以前記述した『水・絵の具・圧・含み具合』を考慮したところの
『決断と勇気と共通するものですが…。』
技が必要となります。

定規を使おうが、マスキングテープ
烏口、雲形曲線定規、自由曲線定規を使おうが、プロジェクター投影トレーシングを行おうが、
『表現手法にタブーは無い!』
というのが、現状での私の見解です。
表現したいことがそこにあれば
ありとあらゆる工夫をもって『やる』のが
『びじゅつ』の想像・創造の本質であると考えます。
人は人を驚かせるために!
古代から建築・彫刻・絵画の存在だったのだとも思います。
神にはなれない人間が『神業』として、
その芸をほめたたえる曲線美もそこにあります。
道具を考え、作り、使用することは、
芸術(美術)の精神においては「恥ずかしい」なんてことは一切ありません。
とにかく工夫して、自己のイメージを具現化していくことに
方法に制限がないのが今のアート。
絵画・立体・CG・アニメ・コミック…。
なんであれ自己表現する技法を身につけることは大切なことです。
但し、そのあとのモラルや模倣•知的財産権も問われる現代です。
自己責任も社会的価値の評価も、少しは意識し、
年齢・実力相応の「美術」をやりましょう!!
『弘法筆をえらばず』
この格言は誤りです。
適正な、目的に叶った筆を選ぶ感覚は持って欲しいと考えます。(私感)
2013年05月19日
鏡像の世界へ—。

画家たちにとって『鏡』の中の世界は、興味あるモティーフ。
まか不思議!
実像とは左右逆の『鏡像』の世界。
私たちが鏡を使って自画像を描く場合、
鏡に映る姿は鏡像となり
写真や動画で見る自分の姿に
ちょっとした違和感を覚えることもあるかと思います。
『声』に関しても、録音して再生した自分の語りに
「あれ!これ、わたし?」などと感じた経験のある方も…。
さて、『鏡』の話にもどりましょう。
自画像を描く時、1枚の鏡を用います。
証明写真の様に表情の無い人物像は、退屈なので
ほんのわずかの演出をすると、
絵は生き生きとしてきます。(演出過多は逆効果!)
自画像を描くということは、自分と向き合い
自己の内面と語り合うことでもあり、
新しい自分の発見にもつながります。
美術を志す人間にとって
とても大切な行為のように思えます。
当塾の卒塾生には、それぞれの合格の後、
1枚の自画像デッサンを残してもらうのが常ですが、
近年の作品を数点紹介してみましょう。


※鏡を2枚用いると横顔も描けます
鏡像の絵画と言えば
ダリの『立体鏡的絵画の中のダリとガラ』
ベラスケス『鏡を見るヴィーナス』や『ラス・メニーナス』
シュールレアリストであるダリの『立体鏡的絵画の中のダリとガラ』は
6枚の鏡をセットして、ガラと自分の後頭部を見える様にし、描写したとのこと。
セッティングを紹介したいのですが、
今の私には※△※???です。
大学入試においても
某私立大においては、『鏡』を補助材として「両手に○○を持ったところを描きなさい。」
であったり、
国立画像設計・AO入試においては、
テーブルに鏡が置かれ、
「鏡に映った姿も含め、セットされたモティーフを描きなさい。」等の
入試課題もあります。
更に発展させると
凹凸面、カッティングシートによる不規則な鏡面など
興味が尽きません。
これも数点紹介してみましょう。


最後に、先週描いた塾生のミラー効果の
デッサン全体と部分の描写を紹介します。
ポイントは接点のしっかりした描き込みといえましょう。



(※描き出しから3時間)
2013年05月15日
匠の技(いづろ画塾流)その1:面相筆

日本画において、『彩色筆』と『くまどり筆』、
そして、骨描きと細密描写に用いる『面相筆』、
大きく3つの筆の種類があり、それぞれの使用法があります。
この他にも、刷毛や平筆、3連・5連筆があり、それぞれ大中小がありますが、
全てを語ると膨大な文字数になりますので、
今回は、『面相筆とその使用法』
(デザインにおける平面構成、日本画の細密着彩)
◆面相筆によるフリーストローク
◆面相筆によるみぞ引き
に限定して解説したいと思います。
但し、我流(いづろ画塾流)であることをおことわりした上で…。

面相筆と一概に言っても、毛先の太さと長さにより効果が異なります。
それは、絵の具(量)の含み具合に関わってくるからです。
その時に必要とされる筆を使い分ける判断力が求められます。
何も難しいことではありません。
■実際に顔彩を使用してご説明致します。
絵筆に含ませる絵の具の水加減の調節のためには
絵皿の縁で筆先をしごき、適量の水分を筆に含ませることが大切です。
これは経験を重ね、コツをつかんでいくしかありませんが、
今回は筆からしたたる様な水分量の絵の具(墨汁)ではなく
しごき、50%程度の水を含ませた絵の具として解説します。
※太さ-中(標準的な面相筆)
※ 短/筆圧の調整が比較的簡単

※ 長/筆圧の調整により太くも細くもできる

墨や絵の具の含みがその線描の長さと細さを決めます。
米国の画家、アンドリュー・ワイエスと、日本画の伊藤若冲など、
精神は異なれど、面相筆使いには、とある共通点を見いだすことがあります。
紙面上で慎重に繰り返しシュミレーションし、
ここぞ!というタイミングでコンマ数ミリの間隔で
画紙に線を走らせる技のことです。
植物の葉•花弁など細やかなタッチを要する描法においても
また、人物等のしわ、目鼻などの重要なパーツ表現では
イラストレーション・油彩・現代日本画(※ボカシ表現は除く)
でも同じことです。
次回は、デザイン平面構成における『アクリラグァシュ』の水加減と
『みぞ引き』について
解説したいと思います。
2013年03月28日
日本画へのいざない

胡粉(ごふん)団子づくり
日本画にとって欠かせないのが胡粉です。
もちろん白としても使えますが、
日本画としてのしっとりとした肌合いを
かもし出してくれます。
ほとんどチューブ入りのものを使うことが多いのですが、
今期日本画に興味をもつ塾生が複数おり、夕刻から手作り胡粉を体験しました。
原材料は牡蠣(海のカキ)の貝殻を5年から10年野積みにして風化させ、
不純物をとり除いたものを砕いてつくられます。
画用胡粉を作る(作家によって色々な溶き方がありますが、その一例として…)
1)さらさらの胡粉を乳鉢に入れて、乳棒で摺りつぶします。

2)目安として『かたくり粉』ほどのきめ細かさが良いようです。

3)絵皿にとり、膠(にかわ)液を少量入れます。
〈※三千本膠•粒膠•鹿膠から煮て溶かしたもですが、
画材店ではボトル入りのものを売っています。〉

4)指で混ぜ合わせ、ちょうど団子状になったところで、
絵皿に約80回から100回程たたき付け、十分膠と馴染ませます。

5)50〜60°のお湯に浸し灰汁抜きをし、出来上がりです。

6)さあ!水と新たな膠を適宜加え描いてみましょう。

団子づくりの最中です。まるで幼い頃のおままごとみたい。(ふふふ)

2013年02月25日
デスケルの使用法 その2

初心者のための
超基礎講座 ④
いづろ画塾流デスケル使用法
前回、デスケルの使用法のブログにおいて
カメラスタンドによる『固定デスケルの使用法』を紹介致しました。
今回は、より詳しく、使用による作品も紹介したいと思います。
固定デスケルの使用法
写真用中型・大型カメラ用三脚としたのは、
縦・横の首振りと全方向回転が出来る事と安定感維持の為です。
2本のレバーで回転軸をしめたり、緩めたりするダイヤルの様なもの
そして高さの微調整補助軸のあるものがベストです。(雲台といいます。)


デッサンを描く人の手持ち位置にぴったり置かなければなりません。
小学6年生のFちゃんにとって初めての木炭デッサン


中学校2年生のTクン2枚目の木炭デッサン


これでも 誤差がでる素描の奥深さ…
受験デッサンにおいて
最後に頼りになるのは、
観察者の目と感性・表現力なのです。
2013年02月19日
画塾、無料体験ウィーク!

美大受験・美術系高校受験希望の皆さん
美術系の受験は志望学科や学校によって
それぞれ違った対策が必要になります。
大学選びや志望学科選びで迷っている皆さん
春休みの比較的自由な時間を利用して
いづろ画塾で、美術の実技体験をしてみませんか?
受験生限定!1日各5名まで
(中2・中3~高1・高2・高3・既卒生)
無料体験ウィーク!
<期間>
3月25日(月)~29日(金)までの5日間

<時間>
●午後の部のみ/PM2:00~PM5:00まで
志望により
●デッサンコース
●着彩コース
●立体コース
●平面構成コース の指導を致します。
※必要な道具(デッサン用鉛筆・絵具等)はご持参ください。
わからない場合は事前にご相談ください。
※画用紙・ケント紙はこちらで準備します。
■準備の都合がありますので、ご予約はお早めに(予約締切/3月21日(木))
下記電話かメールでお申し込みください。
TEL099-224-5668(いづろ画塾事務室)




2012年08月18日
写生会に行きました!

今日も鹿児島は猛暑!
しかし、暑さに負けず写生会を開催しました。
帽子に水分補給のペットボトル、
首筋には冷え冷えの


いざ、多賀山公園へ-。
画塾スクールバス?にのって目的地へ。
多賀山公園は高台にあり、眺めはすばらしく
樹木が生い茂り、スケッチには最適の場所です。
小学生・中学生・高校生・大学生が参加。
皆思い思いの場所で絵筆を走らせました。
画塾を飛び出して自然の中で絵を描くのもいいものです。
ひとしきりスケッチが終わったら、画塾に戻ってもうひとふんばり。
今日は特に暑かったから、みんなアイスを美味しそうにほおばっていました。
美大を目指す受験生も、受験にはまだまだ時間のある塾生も
みんな“描くことがすき!”という気持ちだけは忘れずに
それぞれ、自分の望む道に進んでほしいと願っています。
今日は太陽をいっぱい浴びて、汗もたくさんかきましたネ。
お疲れ様でした。
また、次の機会をお楽しみに!!

2012年08月16日
スペシャル夏特訓、いよいよ後半戦へ-。

この夏、受験生に限らず
一般の方、小学生低学年の新塾生も加わり、
猛暑の中、幅広いメンバーが、それぞれの作品づくりに励んでいます。
夏休みも後半、受験生は志望校へ向け-。
小中学生は、夏休みの宿題や作品展出品のため-。
お盆明けの今日16日(木)は、何人の熱心な塾生が参加するでしょう?
さて、明日17日(金)の休塾日は返上して
またまた開塾します!!
この夏、いづろ画塾は熱いゾ!

立体構成組
マユ型クッション材で球体を作っています。

日本画学科志望のHさんの12時間着彩

中学生T君・小学高学年Fちゃんは
地塗りを施し、
濃厚な絵画にチャレンジ!!

大学生Rちゃん
デッサン目標100枚中
50枚突破!!
2012年08月02日
急告!明日(金)は、開塾します!!

夏スペシャル特訓の中、AO入試間近となりました。
本来明日3日は、
金曜日の休塾日にあたりますが、受験生の要望により、
PM1:00から通常通り開塾します!!
つきましては、レギュラーの塾生も、都合のよい方は来塾ください。
いよいよ夏本番
体力・知力・感性力・表現力を高めましょう!!

2011年04月19日
写真で学ぶ“光と影”

いづろ画塾では、塾生の作品を毎回必ず撮影してデータを残しています。
データで残すことにより、腕をあげていく課程がよくわかります。
今日は“油土で卵をつくる”という宿題を持参したN君の作品の撮影時に、
急遽写真講座を開きました。
デッサンと同様に、“光と影”が重要な要素となる撮影。
いづろ画塾併設のペットフォトスタジオの器材を使って
実際に様々なライティングを試しながら
塾生たちそれぞれにデジカメで撮影体験をしてもらいました。
光の当て方によって撮影する作品の表情がガラリと変わることを
実感して驚きの声を上げる塾生たち。
みんながデッサンをするときに、ライティングにこだわる塾長の
真意があらためて分かったようです。
デッサンと撮影、全く違うかに思えることが
実は重要な共通点があります。
デッサンも撮影も、光と影の意識を持つかどうかで
仕上がりは大きく違ってくるのです。
これからもたくさんのことを吸収して作品づくりに活かしてネ!